私たちの口の中では、歯を溶かす作用(脱灰)と歯を守る作用(再石灰化)が同時に行われていて、このバランスがとれていれば歯は健康です。ところが何かの原因で歯を溶かす作用が強くなると、歯の表面からカルシウム分がどんどん溶け出してむし歯が始まります。
かかり始めたむし歯が本格的なむし歯になるまでには、思いのほか時間がかかります。その間に歯を守る作用を強くし再石灰化を促す適切な治療をすれば、むし歯の進行を止め元の状態を回復させることができます。
同じ生活をしていてもむし歯になる人とならない人がいますが、これは口の中の条件が異なるからです。歯を溶かす作用を強める条件はいくつかあり、この条件への反応には個人差があります(カリエスリスクといいます)。まずは口の中の条件を調べる検査(カリエスリスク検査)を受けて、あなたがどんな条件の持ち主かを知りましょう。
これからの時代は、「予防から健康増進を目指す時代」です。歯科医院では、様々な検査結果をもとに、患者さんの生活全体を総合的に判断してその人に合った予防プログラムをたてます。私たち歯科の専門スタッフは、定期的な検診を通じて、これらの予防プログラムがうまく行われるよう患者の皆様をサポートします。
低濃度のフッ素溶液をお口に含みブクブクうがいをする方法です。これまでの調査では、予防効果がはっきり現れています。洗口液に含まれるフッ素の量は、紅茶やウーロン茶1〜2杯に含まれている天然のフッ素量と変わらず、研究データからは安全という結果が出ています。乳歯が揃う幼時期から永久歯が生え揃う中学期まで、継続してフッ素洗口をすれば、予防効果は成人になるまで続きます。
フッ素溶液を直接歯に塗ります。使うフッ素の量が多いので歯科医院で専門家が行います。13歳児未満のむし歯多発症の患者さんには、保険診療で行うことができる治療です。乳歯が生え始めたら、その都度その都度何度も繰り返し塗って予防の効果を高めます。フッ素洗口と一緒に行えば予防効果はいっそう高まります。
毎日のブラッシングに使うことで、フッ素と歯との出会いを多くできます。少量のフッ素も回を重ねれば大きな効果につながります。世界的に最も普及したむし歯予防の一つがこのフッ素入り歯磨き剤の使用です。他の方法と一緒に使っても、使用量や頻度を守って使う限り、体に害はありません。
ブラッシング後フッ素入りジェルを歯の表面に塗ります。むし歯になりやすい条件が揃っている人・唾液の量が少ない人の場合は、フッ素入りジェルを追加して使い、フッ素の効果を確実に高めます。
歯科医師、歯科衛生士が、器械を用いて歯垢や歯石を除去することを『P.M.T.C.(Professional Mechanical Tooth Cleaning)』と言います。
治療が完了した後も、健康な状態を維持していくには、ご家庭でお口の汚れ(歯垢)を十分に落とすブラッシングをしていただく必要があります。しかしそれを完璧に行うことは難しく、必ず行き届かないところがでてくるものです。特に歯と歯の間、被せもの(クラウン等)の周りなどは、問題が発生しやすいところです。
PMTCの目的は、ホームケアでは清掃が不十分な部位を、専門家の手で管理することによって病気から守ることです。
私たちスタッフは、皆様のお口を健康な状態に保つために、定期的なPMTCをおすすめしています。