「歯内治療(しないちりょう)」−聞き慣れない言葉だと思います。実はかなりのパーセンテージの方が1度は経験されたことのある治療なのです。一般歯科に来院される理由のトップは「『痛み』から解放して欲しい」というものです。最近は予防処置や定期検診を希望されてで来院される患者さんが増えていらっしゃいますが、それでもどこかしら痛んで来られるかたのほうが多いのです。
痛みのなかでも神経にさわるような歯の痛み、シミは耐え難いものです。この痛みをとる代表的な治療法の1つが神経をとる治療、いわゆる『歯内治療』といわれるものです。
何となく針金みたいなもので歯の中をガリガリとやっていると思われるこの治療も治療機器の進歩によって随分様変わりをしています。現在当院では、アメリカ製で形状記憶の超弾性合金性の【ライトスピード】という器具を使用し精度の高い治療を行っています。
神経の治療を確実に行うことができていないと、将来的にかぶせものまで治療が終わっているにもかかわらず痛みが出てきたり、歯ぐきが腫れたり、結局やり直しをしなければならなくなったりということにもなりかねません。歯の形も千差万別、自ずと歯の中の神経の形、神経の大きさ・長さも個人差があります。これを考慮に入れた上で症例ごとに確実に治していく。ポピュラーな治療ですが、最も繊細さを要求される治療の1つであり、歯科医師間での技術の優劣が現れやすい分野です。
むし歯が進行すると細菌は歯の根の中に侵入し、歯髄(神経と血管の集まり)を侵し、根の先からあごの骨へと広がってゆきます。感染の広がりをくい止め大切な歯を抜かないですむよう、感染した歯髄を取り除いて歯根の内部を消毒し、再び細菌が侵入しないように完全に密封してしまいます。この一連の治療が『歯内療法』です。 歯の根は非常に細く形も複雑で、治療には細心の注意と労力、時間が必要ですが、歯を救うために欠かせない重要な治療です。根気よく最後まで治療をお受けください。
細菌に感染した歯髄や象牙質を取り除き、清掃消毒します。
清掃消毒した歯根管を封鎖して、周囲の歯周組織への感染を防いで歯の機能を維持させます。
上に被せるための土台作りをし、クラウンを被せます。
治療したはずの根の先に病巣があると、激しい痛みや腫れなどがでることがあります。たとえ症状がなくても病巣は自然には治りません。歯を救うためには一度入れた補綴物をはずし、もう一度根管治療を行います。入れたものを取り外す分だけ最初のときより大変ですが、頑張って最後まで治療を受けましょう。
【治療前】 |
【治療後】 |
複雑なかたちの根管も、ごらんの通りきれいに充填されています。 |