歯周病の患者さんは、歯周病でない患者さんに比べ、致命的な心臓発作を起こす危険が約2.8倍、早産の確率が7.5倍高いということが、最近のアメリカの研究などでわかってきました。日本人の成人の約85%が何らかの歯周病に感染しているといわれています。歯についた歯垢は細菌のかたまりです。歯垢1ミリグラムの中に約1〜2億個の細菌やうみが含まれており、私たちはそれを毎日飲み込んでいることになります。
中、重度の歯周病になっている妊婦は早産(2500g以下の低体重出産)の危険が7.5倍も高いです。しかも歯周病は、飲酒や喫煙よりリスクが高く、早産の最大の危険因子と判明。歯周病を治すことで18%の早産が予防できると発表されました。また糖尿病の患者さんは以前から歯周病になりやすいことは知られていましたが、最近は逆に歯周病があると糖尿病の血糖値のコントロールが難しくなるとわかりました。したがって、歯周病を治療すれば血糖値が下がり、糖尿病がよくなっていくという好結果につながります。また、肺炎やぜんそく等の呼吸器疾患にも歯周病がかかわっていることがわかってきました。
まずは、患者さんご自身のお口の中の細菌を減らすことがなにより肝心です。そのためには食後の正しいブラッシングが不可欠です。
初期の歯周病は自覚症状が無く、知らない間に進行してしまいます。また、根の深いところについた歯石は自分ではとれません。歯科医院でしかできない治療がありますので、お気軽に「歯周病の検査をしてほしいのですが」と、歯医者さんに声をかけ、正しいアドバイスを受けましょう。
歯周病の原因は歯周病菌(細菌)です。特に歯周病菌に効く抗生剤を5日から7日服用していただくことで、重症の歯周病も劇的に治っていきます。
歯石はなぜ除去しなければならないのでしょうか。歯石それ自体は歯肉に対してそれほど「悪さ」をするものではありません。
歯石を拡大してみるとミクロの凸凹や穴が開いており、歯周病菌の格好の「巣」になっているのです。
歯周病菌と同時に歯周病菌の住みかも徹底的に除去することが歯周治療の基本です。
当院は超音波装置を用いて歯石除去を行います。超音波装置の中でも最も痛みを感じることがないスプラッソンP-MAXを使用し、麻酔なしで歯石除去が可能です。
スプラッソンP-MAX |
歯石除去治療風景 |
一旦よくなった歯肉がまた悪くなることがないように、定期的に歯肉のお掃除を行うことで、それを行わなかった場合に比べて失う歯を【1/3】まで減らすことが可能であると言われています。
▲ロタデント |
▲ソニッケア |
当院がおすすめする電動歯ブラシです。 通常の歯ブラシに比べプラークの除去効果が高まります。 |
歯周病は知らないうちに進行する「沈黙の病」です。適切な治療のためには、来院したあなたの歯肉やあごの骨が、今どんな状態にあるかを見極めなければなりません。「歯周基本検査」「歯周精密検査」は、これからの治療方針を決める重要な検査です。
基本検査は・・・
精密検査は・・・
たとえば・・・
歯周病になると歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなり、
その中に歯石が溜まります。
ピンセットで歯を動かしてみて動揺度を調べます。
歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目等にプラークが付着しています。
歯周病の原因プラークは、細菌が自分で作り出した物質をテントのようにはって周りを囲み、その中で増殖しています。こういう細菌の生活様式をバイオフィルムといいます。 バイオフィルムは、薬を使って治療しようとしてもこの膜状のものが壊れにくく、薬などを通さないため効果がありません。その上、膜の粘着力が強く、プラークの場合は歯面にしっかりくっついて取れにくいことも特徴です。つまりバイオフィルムは物理的な方法で「こそげ落とす」しか取り除く方法がありません。 そんな訳で、プラークをコントロールしてお口の中の環境を整えるためには、ご家庭での正しいブラッシングとともに、専門家による歯科医院(セルフケアとプロフェッショナルケア)での清掃がとても効果的です。
専門家の手によるプラークコントロールの第1ステップは、スケーリングです。特殊な器具を使い、目に見える範囲のプラークや歯石(プラークが石灰化したもの)を除去します。術後しばらくは歯と歯の間に隙間ができたり、歯が長くなったように感じますが、これはいままでついていた歯石が取れたせいで、良くなった証です。
プラークや歯石は、歯肉に隠れた目に見えない部分にも溜まります。 歯根(ルート)面についたプラークや歯石、沈着物、死んでしまった組織などを特殊な器具で取り除いて表面をツルツルにし、再び汚れや細菌が付かないようにします。
臭いの感覚は特殊なもので、自分自身の口臭は自分ではなかなか気がつかないものです。呼吸や会話で吐き出した息が、他人の鼻で不快に感じられたならば口臭となります。
口臭の原因の約90%は、口腔内にあるといわれ、さまざまな細菌が繁殖して引き起こされると考えられています。
むし歯や歯周病など口の中の病気や、その原因でもある細菌の塊(歯垢)は、口臭の代表的な原因です。丁寧にブラッシングをして口の中を清潔にして下さい。口の中を不潔にしておくと、舌の上に苔のようなものが溜まり(舌苔)、これも口臭の大きな原因になります。
また、唾液には細菌の繁殖を抑える自浄作用があります。従って唾液の分泌量が少なくなると、口臭が発生しやすくなります。(緊張時やストレスなども、唾液の分泌量が少なくなる原因のひとつです。)
※自臭症(実際にはないのに、自分で口臭があると思い込んでいる)の方も少なくないので、
歯科医院でチェックしてもらいましょう。(最近では、口臭測定器も開発されています。)
口臭も口の中を清潔に保ち、むし歯や歯周病などを治療して、歯科医院での定期的なチェック、ケアを受けることによって予防が可能です。