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顎顔面口腔育成治療

顎顔面口腔育成治療専門医

歯並びよりも大切なことがあります。

バイオブロック・オーソトロビクスフルレジストレーション取得 マスター認定証
バイオブロック・オーソトロビクスフルレジストレーション取得 (※)

顎顔面口腔育成治療とは

顎顔面口腔育成とは、何を行う治療なのか?
「難しい言葉を使ってあっても、歯科医師が行う治療であれば矯正治療の延長なのでは?」と考えられるのは無理からぬところではありますが、実を言いますと目的としている、あるいは目標としているところが、他の多くの矯正治療とは異なります。

成長期の子供の正常な頭・顔面・顎の発育は、小さなボールが膨らんでいく現象と似ています。
上顎がおもに水平方向へ、下顎はやや前下方に成長するとボールのようにキレイに大きくなりますが、歯並びの悪さを訴えて来院される患者さんは、顎顔面の「きれいな膨張」ができていません。
例外なく、水平方向(前方)への成長が不足し、代わりに下方への成長量が増えてしまっているのです。
この現象を ダウングロース(下方成長) と呼び、さまざまな不正咬合(ふせいこうごう)が生まれる主たる原因だと考えています。
この異常な成長方向を修正し、顎顔面が本来あるべき位置に誘導していくことができたら、つまり不正咬合の原因と考えられることにアタックすることができたら、木で言えば大き な幹の部分を正すことができたら……、 当院はその術(すべ)を有しています。
きちんとした術前診断をもとに

  • Biobloc(バイオブロック)
  • 上顎骨前方牽引装置

(『治療方法』参照)
といった装置を、患者さんに合わせて製作、調整しながら顎顔面と口腔にアタックしていくことで、この目標を達成することができるのです。
主な原因を除いてあげれば、それより小さな問題(たとえば歯並び)は患者さん自身の力で解決する場合もありますし、もしできなくても、より少ない力で快方へと向かわせることが可能となります。

歯並びについて説明してきましたが、私が行っている顎顔面口腔育成の主な治療目標は「歯並びの改善」ではありません。

人にとって歯並びよりも大切なことがあります。
歯科治療全般で最も重要なことは、「よい咬合」、つまり「よいかみ合わせ」(よい歯並びも含めます)であると言われていますが、「命」ということを考えると、「質の高い呼吸」の方がより上位と考えて問題ないと考えます。
顎顔面口腔育成治療により、頭蓋、顎顔面、口腔を生理的な発育に持って行くことで、咽頭部(空気の通り道)を広くできる可能性が高く、歯並びよりも大切な呼吸の改善が見込まれます。
また、顎顔面の生理的な成長へ導くということは、顔の自然観をよりよい方向へ向かわせることに他ならないので、張りのある、魅力的な顔貌(がんぼう)も得られます。
このように歯並びだけではなく、人のクオリティー・オブ・ライフという観点からもっと
高い位置にある
  • 呼吸
  • 顔貌
をより正しい、健康な方向へ導くことができる可能性がある、それが『顎顔面口腔育成治療』
なのです。
日本に入ってきて20年ほど経過する自然成長誘導法-フェイシャルオーソトロピクス(Facial Orthotropics)、この分野において、世界で初めてマスターとして認定されました。

床矯正治療とどのように違うのか?

まず不正咬合がなぜ起こるのか、不正咬合の大きな原因は何かということを理解しておかなければなりません。
叢生(ガタガタの歯並び)、開咬(しっかり噛んでも上下の歯の間に隙間ができる)、上顎前突、反対咬合など全ての理想的ではない歯並びが生じる大元のきっかけは、上顎を含めた中顔面を構成する骨複合体が回転しながら下方に降りてくる、つまりダウングロースであると考えています。
この部分に目を向け、不正咬合の原因にアタックして問題を解決しようとするのが、バイオブロック(Biobloc)上顎骨前方牽引装置を装置として主に使用する顎顔面口腔育成治療です。

一方、シュワルツアプライアンスとして総称される床拡大装置は、現象として「歯を並べるスペースが少ない」ということがあれば、平行拡大、つまり、立体的な問題を目を向けずに、スクリューなどを使用して2次元的(平面的)に顎の骨を広げようとトライするものです。

顎顔面口腔育成治療と床矯正治療との違いを理解する上で大切なことは、歯を並べるスペースが少ない=顎の骨が小さいということではないということです。多くは、『回転とひずみによって骨がたわんで小さく見えている』と表現した方が、より正解に近いと思います。

後戻りたわんだ骨をたわんだまま広げようとしても無理があります。
仮に広がっても、それは上部のみで、ほとんどの症例で、時間がたったり、奥歯のかみ合わせがしっかりしてくるにつれて“後戻り”という現象を起こしてしまいます。

また、歯の挺出(歯が伸びること)を伴い、さらに垂直的な(3次元的な)問題を増大する危険性を伴っているのです。 顎顔面口腔育成治療は、ダウングロースという現象によって正常ではなくなった骨にアタックして、それらを本来あるべき位置、多くは前上方へ再配置させることで、異常を異常のまま放置せず、大元の異常を改善していく(多くは拡大治療を伴います)、その結果歯並びも治っていくという治療です。

まとめると

  • 床矯正治療……立体的に見てひずんでしまった顎骨の上部のみを、歯を並べるために平面的に平行拡大していく治療。
  • 顎顔面口腔育成治療……顔が長くなるなど立体的な問題を起こしている大元にアタックして解決していき、結果として歯並びも良くなる治療。

と表現でき、装置の形は似ているようでも、治療目標や治療結果は全く非なるものなのです。

ここでは、“歯並びを治す”という面にのみ焦点をあてて比較してみましたが、顎顔面口腔育成治療では「人にとって歯並びよりも大切なことがあります」 という考え方にたっているということは理解しておいてください。

* Yasushi Mitani:The RAMPA therapy. The 14th International Symposium for Facial Growth Guidance;15th - 17th June 2012より引用、改変。
** 関崎和夫. 咬合誘導を考える. 叢生治療の現在: 下顎歯列弓拡大について(Ⅱ). the Quintessence 2003 ; 22(10) を引用、改変。

治療方法

  1. 上顎を前方、側方に拡大し、また下方に降りてしまったものを本来あるべき上方に再配置させるために、バイオブロック ステージ 1 or 上顎骨前方牽引装置と呼ばれる装置を使用します。"上顎に舌がすっぽりと収まるスペースができている"ことがこの治療を成功に導く条件です。
  2. 上顎の位置、大きさの影響を多大に受けているのが下顎です。上顎の拡大・再配置がある程度進んだら、下顎の治療を開始します。下顎もバイオブロック ステージ1で前方、側方に拡大します。
  3. 上顎・下顎に舌が納まるスペースが確保できたならば、この治療法の肝(キモ)であるバイオブロック ステージ3を装着します。 生理的で望ましい顔面・頭蓋そして顎骨の成長条件、正しい環境として
    1. 上下の唇が閉じていること
    2. 舌が上顎に触れていること
    3. 上下の歯が軽く接していること

    の3つがありますが、バイオブロック・ステージ3をしっかり使用することで、この条件をクリアできるという画期的な装置です。(1)、(2)では上顎、下顎別々に治療することで咬み合わせが不安定な時期になりますが、ステージ3を使用することで顎骨のひずみがとれてしっかりした咬合関係を獲得します。 下記にあるほとんどの不正咬合に対して、同じ治療法で進めていくことは大元(おおもと)の原因は一つであることの証(あかし)であると考えています。

治療前・治療後

治療開始年齢

上顎骨前方牽引装置という治療用装置が使用できるようになったことで、治療可能な治療開始年齢の幅が大きくなりましたが、患者それぞれが、理想的な顔貌(がんぼう)を得るためには6,7歳、遅くとも10歳前には開始したいものです。

治療可能な歯並び(不正咬合)

  • 叢生(でこぼこの歯並び)
  • 上顎前突(出っ歯)
  • 反対咬合(受け口)
  • 開咬(上下の前歯間に大きく離れている)
  • ガミースマイル(笑うとたくさんの歯ぐきが見えてしまう)

治療で改善する可能性がある症状

  • アレルギー性鼻炎
  • 子供のいびき   等

日本人は欧米人と比較して、明らかに上顎骨の前方発育が悪い人種です。下顎は上顎骨の影響を大きく受けるということを考えれば、最初から歯並びには不利な骨格なのです。
脳頭蓋とつがなっている上顎骨は基本的にほとんど動かない、拡大できる量も限られているとした考え方の従来の矯正治療では、スペースが足りなければ永久歯抜歯からの治療になる可能性が高くなることはいたしかたありません。

当院で行う治療は基本的に非抜歯による矯正治療です。もっと言えば、歯並びよりも、はるかに大事な『異常な呼吸の改善』『理想的な呼吸路(気道)の獲得』に重きを置いた治療を目指していますし、慢性的な鼻疾患を有するほとんどの患者さんで症状の改善が得られています。

当院のポリシーは「歯科医療を通して、患者さんの健康に貢献をする。」です。

すべての治療で精度が高い治療を提供できていると自負していますが、この頭蓋・顎顔面・口腔咽頭全体を改善できる治療は、患者さんの健康増進に直結する、長い人生を豊かにする治療であると考えています。